「果歩……」


「クス、いつもの仕返し。どう?けっこうドキッとするでしょ?」



俺から離れ、一歩後ろに下がった果歩にどうしてか何も言えなかった。


クスクスと笑う果歩。


そんな姿を見て、なぜか心がざわざわとした俺は「じゃあね」と、背を向けよとした果歩の腕を掴み、再び勢いよく引き寄せていた。



「明日いつごろ来る?つーか来るとき連絡しろよ」


「……え?……うん。できるだけ退院に間に合うように行くから安心して」


「分かった……」



手を離した瞬間、やっぱり妙な感覚がした。



……何だろうな、この感じ?


目の前の果歩はいつもと変わらないはずなのに、変に気持ちが落ち着かない。



「果歩?明日、待ってるからな」


「……うん。じゃあ……」