「いいよ。おいで」
その瞬間勢いよく抱きついてきた果歩に思わず顔が緩む。
ぎゅっと力いっぱい俺の胸に顔を埋める果歩が何だか、いつも以上に小さく感じた。
なんか照れるな……
周りにはけっこうな人だかり。
待合室に向かって歩く人が一瞬チラチラとこちらを気にしてるの気付いたけれど
「ふっ、何?今日は本当に甘えん坊キャラなんだな?」
「……ん、たまには……ね」
そんな可愛い言葉に、まぁ…いいか。と、気持ちが根負けてしまう。
そして……
「うん、この匂い。陽生の匂い。私この匂い大好き……」
「え?ああ、それは光栄だな」
そう言って強く抱き寄せて、目の前の頭にキスをする。