――それから30分後。
再び戻ってきた果歩にはもうさっきまでの違和感はなかった。
満面な笑顔。ここに来た時と同じ笑顔を向けられて、俺は少し戸惑ってしまう。
「ねぇ、見て見て。こんなお菓子が売ってたから買ってきちゃった。今から一緒に食べよう」
「…ああ……」
内心笑えない。
さっきの表情はいったいなんだったのか?
果歩の様子を覗いながら、俺は再び近づいてきた果歩の腕をそっと掴む。
「なぁ、果歩。さっきのあれっていったい……」
「あ、見て見て、ハート型だ!すごーい!これ、プレミアのデザインだよ!」
嬉しそうに笑われ、不覚にも途中で言葉を止めてしまった。
一瞬話しを逸らされた感を感じながらも、俺は次の言葉をためらってしまう。