その姿にやっぱり違和感を覚えた俺は…
「果……」
「えーっ、もう帰っちゃうの?」
静香の声に、呼びとめるタイミングを逃してしまった。
静香がつまらなそうに、果歩の側に歩み寄ろうとする。
「せっかく果歩ちゃんと話せると思ったのにぃ」
「ごめんなさい。実は今さっき後藤から連絡あって、これから会わなきゃいけなくなっちゃって」
「……そう、それは仕方ないわねぇ」
「陽生もごめん。また明日来る……から」
「ああ、分かった。気を付けて帰れよ。未来ちゃんによろしく」
そう告げて俺は果歩の後姿を見届ける。
すると、今まで優しく手を振っていた静香から急に笑顔が消え、俺の方へと視線が向けられた。