(ーSide陽生ー)



「あら、果歩ちゃんこんにちは」


「……こんにちは」



それからしばらくして病室に戻ってきた果歩に、静香がニッコリと笑顔を向けた。



「売店ずいぶんと遅かったんだな。ひょっとして場所分からなかった?」


「……ううん、違う。なんか途中で目にゴミが入っちゃったから、トイレで目を洗ってたの」


「……そうか。もう大丈夫なのか?」


「あ、うん……」



顔を覗きこもうとすると、なぜか急に慌てたように売店の袋を手渡された。


その瞬間見えた瞳に「??」と、違和感を感じながらも、俺は「サンキュー」とそれを受け取った。



「じゃあ、私帰るね」


「え?」



もう?


少し驚いて目を見開くと、すでに俺から背を向けようとしていた果歩が目に飛び込んでくる。