とても真剣な声だった。
その瞬間私達の間にビュウーと大きな風が突き抜けて、一気に体の体温が奪われていく感覚がする。
怖い……
そう思うのに、私は固まったまま瞬き一つできない。
「本当にあいつが好きなら、時には自分が身を引くのも一つの愛ってもんじゃないの?」
「―――」
私が身を……引く?
「陽生の幸せを思うなら。時にはそっと離れて見守るのも大事なことなんじゃない?違う?」
「そ、れは……」
違う。
こんなの違う。そう思うのになぜか言葉が出てこなかった。
また一歩近づく真咲さん。
そして次に発せられた彼の真剣な言葉に私の思考は完全に停止してしまう。