そんなことを心の中で女々しく思っていると、突然隣から嬉しそうな声が飛んできた。
「そっか、なら安心した」
「えっ…」
「なら、もう時効かな。この思いもこのモヤモヤも、もう我慢しなくていいよね」
意味深な彼女の言葉。
ふいにグラスを見つめるその横顔は、どこか何かをふっ切った様子に見えて
「先生」
突然ギィ…と音を立て、彼女が体ごと俺の方へと向き直る。
目と目が合った瞬間、いつになく真剣な眼差で真っ直ぐ俺の瞳を突き差した。
「本題に入っていいですか?」
そう言われ、驚きながらも俺は「ああ」と言葉を返す。
本題、とは、今日ここに呼び出された「大事な話し」ってやつだよな?
そう思いながら俺も彼女の方を見ていると、
単刀直入に言いますよ。といいながら、彼女は膝の上でギュッと両手を握りしめた。