「家まで送るよ」


「えっ?」


「佐渡さんの変わりに。俺が君の相手をするように頼まれてるから」



ギュッと手を握られる。


はっと、驚く私をよそに彼は何食わぬ顔をして、今開いたばかりのエレベーターに私を誘導しようとする。



「あ、あの!え?相手って、運転手の方ですか??」



おどおどしながら、私は声をかける。


ぱっと見、陽生と同じぐらいの年齢に見える。


それよりも少し下か、背格好や髪型、どことなく陽生に似てる様な感じの人……



「ん、まぁそんなところ。でもどちらかと言えばもっと違う意味にとらえてくれてもいいんだけど」


「へ?違う……意味?」


「とりあえず乗ろっか。いくら社長に了解を得てるからと言え、さずがにこんな目と鼻のさきじゃ行動に移しにくいからね」