まるで心の中では、時限爆弾を抱えたような焦り。
必死に冷静をみせながらも、1秒でも陽生の側から離れたくてしょうがなかった。
「なんか、男ものの香水の匂いがするんだけど……」
「へ?そ、そう?」
本気でやばい…
どうしよう。
知られたくない。
今日のことは陽生にだけは知られちゃいけないきがするのに……
「果歩?」
「あ、あのね!そうだ!きっとあの時!……実は今日ここに来る途中に派手に転びそうになっちゃって、その時たまたま通りかかった親切な人が私を受け止めてくれたの!
……だから、きっとその時についたんじゃないかと思うんだけど……」
あながち、嘘ではない。
私はふいに数時間前のことを思いだす。
陽生の鋭い視線に耐えながら、ギュッと自分の掌を握りしめた。