「夜電話する」
そう告げて、頭を撫でれば返ってきた優しい眼差し。
「…うん、待ってる」
「つーかごめんな。本当はちゃんと挨拶しようと思ってたんだけど……」
「ううん、別にいいよ。仕事帰りにわざわざ送って貰っちゃったんだし、
それに、急ぐんでしょ?これから待ち合わせなんだっけ?」
「ああ、悪い、また改めてちゃんと覗うって伝えといて」
「分かった、じゃあ……」
最後に、もう一度引き寄せて額に……キス。
名残惜しむように見つめ合い、果歩が助手席のドアを開けた。
「しっかりな、何か困ったことがあればすぐに連絡しろよ」
「……うん」
クスリ笑い合い、俺は果歩が家に入って行くのを見送った。