「あ、悪りぃ……」



やべっ、今まじで理性とばしかけてたわ。


息を乱し、乱れた服を整える果歩を目の前にして、思わず苦笑いを浮かべた俺。



「ごめん、つい……」



冷静さを取り戻す中、果歩の乱れた髪を直してやると、思いっきり不機嫌な睨みが飛んできた。



「もう、スケベ!」



手を振り払われ、軽くショックを受ける俺。


何もそんなに拒否らなくても…


そう思いつつも、悪いのはこの俺だ。



「と、とりあえずもう行くから」



果歩が気を取り直したように俺を見る。


バックを持ち、ドアを開けようとする横顔に、俺はすかさず後のボストンバッグを受け渡した。