ふと、そんなことを考えながら視線を横にずらした時だった。
一瞬果歩らしき姿が見えて、俺はハッと足を止めた。
見覚えのあるベージュピンクのシンプルなドレス。
首には茶系のスカーフなんかを巻いていて
あれは……
間違いなく果歩だった。
……やっと見つけた。
遠目からでも分かるその姿に思わずホッと肩を撫でおろす。
思わず顔を緩ませそうになったのもつかの間。
そのまま横にチラッと目をやれば、静香とは程違う、背の高い男が一人果歩にまとまりついていた。
というより絡まれている?
……おいおい。
うちのボディーガードは一体どこに行ったんだ?
全然安全じゃないじゃないか。
しかもそれは見覚えがある人物。
たまらずため息を吐きそうになった瞬間、その男がいやらしく果歩の腰に手を回そうとしたから
「ちっ…」
「えっ、先生!?」
俺は何を考えるでもなく、無意識にそこへ足を向けていた。