「あら陽生君じゃない」
「おお、ミサ君じゃないか」
「二人揃ってなんて珍しい組み合わせね」
会場に入るとすぐ、待ち構えてたようにかけられた声。
「ひょっとして、あなた達ってそういう関係なの?」
なんてお決まりの声に耳を傾けつつも、俺はあえてそのことには一切触れず、淡々と挨拶を交わしていった。
「ふふ、実はそうなんです……って言いたいところだけど、今日は私が無理言って付き合ってもらってるんですよ。叔母様」
そんな俺の横で満面の笑みを浮かべる彼女。
さっきの落ち込みは一体何処にいったのか、終始楽しそうに会話を弾ませる。
「ただ今私の片思い中でーす。でも全然相手にされなくて困ってるんですけどねぇ」
……やれやれ。
困ってるのはむしろ俺の方だ。
楽観的と言うか何と言うか。
驚くほどコロコロと表情を変える彼女に俺は呆れるばかり。