そんなに必死になるようなことだろうか?
目の前で一生のお願いとでもいうように懇願する彼女を見つめながら、
「別にそれぐらいなら……」
そう告げた。
まぁ、その程度のことなら別にどうってことないだろう。
「ほ、本当ですか!?」
「今回だけ特別に目を瞑るよ」
一応、今日この話を引き受けた時点でそれぐらいのことは覚悟していた。
正直もっと、それ異常の無理難題を言われるのかと思ってたぐらいだ。
「あ、ありがとうございます!」
俺は少し下がって改めて彼女の隣に並ぶ。
少し緊張ぎみに俺の腕に触れる彼女。
だけど、嬉しそうに頬を赤らめた彼女を見届けながら、俺は今度こそ会場の中へと足を踏み入れた。