「お、お願いがあります!」
「えっ?」
突然、彼女の焦った声。
立ち止まり、そんな彼女の方へと向き直ると、とても真剣な表情の彼女がいた。
「せ、せめて腕だけでも組んでもらっていいですか?」
「え?」
「せ、先生と腕を組んで歩きたいです!あ、あのっ、ごめんなさい!でも今日だけでいいんです!せめてパーティーの間だけでも恋人気分を味わいたいっていうか、そのっ…」
彼女が興奮ぎみに俺の腕を強く掴む。
「か、彼女さんに会うまでの少しの間だけでいいんですっ!絶対迷惑はかけませんから!嫌ならすぐ離れますからっ!だからっ、あの、だ、ダメですか!?」
言いながら願うように目を瞑る彼女。
腕、ねぇ……