(悩みの種ーSide陽生ー)
「きゃっ、先生格好いいです!」
「………」
会場につき、控室で着替えを済ませた俺を見るなり満面の笑みで俺の腕に絡み付いてきた彼女。
目をキラキラとさせ、うんざりとするようなテンションで俺にまとわりつくのはそう、俺の今の悩みの種、神埼ミサだ。
「先生ってば本当に格好いいです!何でそんなに素敵なんですかぁ?もう惚れ惚れしちゃう」
「……それはどうも……」
そっけなく返し、さりげなく腕をほどく。
あからさまに冷たい態度をとっているのに、まったく気にすることなく寄りそってくる彼女にどっと疲れが押し寄せるてくる。
「あ、そうそう、もう少ししたらうちの父もここに来るそうです。先生にちゃんと挨拶したいって言ってましたよ」
「……ふーん」
正直そんなのはどうでもいい。
別に挨拶された所で俺の意思は何一つ変わることはないし、むしろ余計気分が悪くなるだけだ。