「果歩ちゃん」
「えっ、はい!」
「ずっと陽生と一緒にいてあげてね」
それは今まで聞いたことのない真剣な声だった。
その声に、眼差しに、私は思わずビクッと反応してしまい
「静……」
「これから先何があっても陽生の言葉だけを信じてあげてね」
「えっ……」
「陽生の手を絶対離しちゃだめだめよ、いい?」
静香さんの手が、さらに私の手をぎゅっと強く握りしめる。
その手の温度が驚くほど熱かったから、私は固まったまま静香さんを凝視してしまった。
ていうより、何も言えなかったんだ。
「……静香、さん?」
何故か胸がドキドキとした。
それはいつも感じるものとは全く違う種類のドキドキ感。
疑問と不安、とにかくいろんな要素が交ざった複雑なものだった。