「あー……いや、あったのはお前の方なんだろ」
直輝が突然そんなことを言うもんだから、思わずえっと言葉を詰まらせてしまった。
「平気か?」
「へ?」
「いや、だから昼間会った時いつにもまして変だったっから」
バタンと、ドアの閉まる音が聞こえる。
たぶん車に乗ったであろう直輝のすぐそばで、カチッとライターのすれる音の気配もした。
「直……」
「あいつと上手く言ってないのか?」
その声がビックリするほど優しい口調だったから、何故かじわじわと急に熱いものが込み上げてきてしまった。
ああ、そっか。
直輝ってば心配して電話かけてきてくれたんだ。
昼間はあんなにくだらねぇ。といった態度しか見せなかったくせに、結局は何だかんだ言ってこうして気にかけてくれるんだね。
誰よりも優しい声で……