『それってただ単純に三月さんが寂しいだけなんじゃないの』
うん。そうだよ、そう。
後藤の言う通りだ。
ここのところ、何だか無性に寂しいんだ。
陽生のいないこの家は、笑っちゃうぐらい冷たくて。
どうしてか、ポツンと一人取り残されたような気分になるんだよ。
それに……
昼間、後藤には言えなかったけれど、本当はもう一つ気になることがあった。
それは最近陽生に頻繁にかかってくる電話。
たぶん、女の人……
しかも若い女性の。
隣にいたとき、通話口から微かに聞こえただけだから、はっきり確信めいたことは言えないけれど……でも、直感的にそう感じる。
だって、その人から電話がかかってくると、微妙に陽生の表情が険しくなるっていうか、あまりいい態度じゃない気がするんだもん。
まぁ、これも私の勝手な思い込みかもしれないけれど……