職員室を出て
階段を二段抜かしで上がる圭介のあとを

なぜか拓真追ってきている。



「……授業いけって」



「だってクラスメイトだし!
 見てみたいじゃん。
 学校始まってから一度も来てないし
 美人かなぁ」


ため息交じりに言う圭介に対して

拓真はこれ以上ないくらい
わくわくした表情で階段を駆け上がっている。


制服を着た女子高生が相手じゃ
たとえどんなに強烈美人でも

ドキリともしない自信がある圭介は

「若いなー」

と苦笑しながら結局無言でそれを容認した。




職員室の上は会議室
その上は美術室
そして五階は新教室ができた今は

使われていない音楽室だ。



圭介はそのどれにも見向きしないで

真っ直ぐに屋上へ上がる階段の踊り場を曲がった。




施錠されているはずの屋上の錠前が

外れていることに気付いた。




ドアの前で一回息をついてから


ゆっくりドアを開ける。






強い光と

勢いよく舞い込んでくる風に





思わず目を瞑った――。