ある日の放課後
中間考査の順位表が掲示板に貼り出された。


掲示板にできる人だかりを
監視するように命じられた圭介は
遠巻きにそれを眺める。

中心からは
どよめきとともに
ときどき歓声のようなものも聞こえきた。



その順位表の中

霞月の名前が
上から二番目にある――…


その事実に
感嘆の声を漏らすだけで
職員室の誰も、もはや驚きもしなかったが

毎日学校に来ていた生徒から見たら
この結果は酷かもしれない。



通りかかる生徒は
次々にそこに吸い寄せられていき
人だかりはどんどん大きくなっていった。


また二人ほど
二年生の女子が
群れの中に飛び込んでくるのを
話しかけてくる生徒の相手をしつつ
何気なく見ていた。

彼女たちは順位表を見にきたにしてはやけに興奮し、はしゃいでいる。


「ね、ね!
 校門のところにスッゴイかっこいい人がいる!」

「ちょーかっこいいよ
 モデルかなにかかな?!」


ん?と首をめぐらせると
校門にもちょっとした群れができ
女子ばかりが集まっている。


「先輩声かけられてたよ!
 誰かまってるのかなー?」

「もしかしてナンパしにきたんじゃない?!」


うわずるような声に
聞き捨てならない内容が含まれていて圭介は眉間に皺を寄せた。


「ええー、私も見たい!
 いこうよ!!」


女子たちは色めきながら掲示板の前から去っていった。



(頼むよ、なにもこんなとこでナンパなんかするなよ……)



圭介はうんざりしながらも
耳にしてしまった内容に
しかたなく走り去った女子たちのあとを追った――…