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片手に教科書
片手に白いチョークを持ち

黒板を指しながら
説明をする圭介が送ってくる視線を無視して

霞月はじっと外を眺めていた。



冷たい言葉と
冷たい表情。


それを作るのはあまりに簡単で
当たり前で

抱く感情を押し殺すことも
切り裂くような悪口にも

霞月が痛みを感じることは


もう、なかった。



それでいい。


それがいい――。



校庭には体育をしている女子たちの
高い声が響き

校門からほど近い場所に停められた黒く光る高級車の脇を
授業を抜け出したらしい男子たちが
コンビニに向かって走っていた。


黒い車の窓が開くのを横目で見ながら

霞月は

黒板に向かった圭介の後ろ姿を


そっと――眺めた……。




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