沸き立つような感情をよそに
圭介も拓真もどこか現実感がないまま
霞月を眺めていた。
いや、
『見とれていた』
と言ったほうが正しい――。
太陽の下にいるのが
不釣り合いにさえ思えるような
透けるような白い肌と
艶やかな黒髪。
白いブラウスから生える
しなやかで長い腕。
長身なのに
今にも折れてしまいそうなくらい
細く華奢な身体
形のいい眉
黒目がちのはっきりとした二重
ピンク色をした薄い唇
生意気そうなツンと高い鼻梁
どこも綺麗に整っていて
美人、だった――。
――そう
美少女というより美人だ。
高校生というよりも大学生。
下手したらそれ以上にも見える。
大人びた印象をぶち壊す
生意気な言葉も
逆にそれが似合っているようにすら思えた。