「もしかして
 本当にこいつとキスしたのか
 なんて考えてないでしょうね?」



驚いて見返すと
呆れたような表情と
あの「バカナオトコ」を見るときの笑みが向けられる。


小さく肩をすくめて
頬杖をつきながら

薄い唇を妖艶に歪めた。




「王子様?
 お目覚めのキスはいかがでした?」




ギクリ硬直とする圭介に対し

クスクス笑う彼女は
その反応を見ることなく
テレビのニュースにあっさりと視線をニュースに戻す。


言ってみただけで
圭介の反応には
全く興味なしと言った感じだ。



「おまえ性格悪いよ」



呆れたように顔を顰めて
彼女の頭を小突きながら
惺がテーブルに皿を並べた。

キッチンとテーブルを
もう一往復して惺もそこに座った。



「はい、どうぞ召し上がれ」



トーストと
サラダにスクランブルエッグ
ベーコンと野菜のコンソメスープ。

男が作った朝食としては完璧だ。


霞月には小さめのサラダと
小さな卵サンドが二個
男二人より小さいカップに入れられたスープだった。


「サンドイッチなら食べられるでしょ?」


コクンと頷き
手を合わせてながら「いただきます」と言う霞月に合わせて

圭介もスープに口をつけた――…