――数瞬


そんなことを考え立ち惚けていると
拓真が横からつついてきた。



「起こさんでいいの?」



我に返って
ちらりと拓真の顔を見てから

綺麗な寝顔に近づく――。




実際のところ
彼女が相馬霞月だという確信は

なかった――。



彼女が学校に来たのは
入学前の説明会のみ。

ゆえにクラスメイトの拓真ですら
その顔を覚えていない。




仮に彼女が相馬霞月なら

一目見れば
強烈な印象を残しただろう――…





一瞬躊躇ってから彼女の肩を叩く。


「ん――…」


色っぽい声を漏らしながら
眉根に皺を寄せると

圭介の手を振り払った。



ちょっとムッとして
口調を強くして揺すってみる。



「こらっ! 起きろ!」




すると


バッと跳ねるように起きあがった彼女は

素早い身のこなしで
圭介に対峙するように立ち上がった。




突然

向けられた強い光を持つ瞳。





息を呑まずにはいられなかった――