「良かった、覚えていてくれたんだ」

いや、だから覚えてるも何も……。

「あのさ」

「う、うん」

「学園祭の後夜祭なんだけど……」

そこで、何故か少し顔を赤らめて視線を逸らしてしまった仙道君。

私はと言えば、わけもわからずとりあえずその続きを待っていた。

意を決したかのようにキュッと表情を引き締めた仙道君が、また真っ直ぐに私の瞳を見つめて口を開いた。

「後夜祭、オレと一緒に過ごしてくれないかな?」

「は?」

あぁ、また間抜けな声が出てしまった。

私の反応に、仙道君のほうは少し慌てた様子で言葉を足した。

「べ、別にすぐに返事くれなくてもいいから。また、後夜祭の前に改めて答えてくれないかな?」

「う、うん」