「そうなん?でもあの廊下なんて50m走できそうじゃん!」

「べつに。」

「俺ちっちゃい頃から貧乏で、ずっとすげーちっちゃい家しか住んだことないから羨ましいわ!」

「…うん」

久々に人と話したからなんとなく緊張して
テキトーな相槌をうってごまかした。


「…つーかさ」

すると急にさっきとは別人みたいな雰囲気で勇気が喋り出した。



「こんなに簡単に知らない人家にあげちゃっていいの?
一応さ……男と女が二人っきりなんだけど………?」

「えっ!?」

そういって勇気はわたしの髪をスッと触った。