「会いに行くべきなんだと思う。
それでちゃんと向き合わなくちゃ
ずっと後悔することになるのかもしれない。」
ずっと、自分を責めることでホントは逃げて
たのかもしれない。
私が、彼をずっと拒んでたのかも
しれないならそんなことはないって言わなくちゃ
彼はそう思ってしまうだろう。
砂浜に浮かぶ影が揺らめく。
「鈴」
いつにも増してあの人の声が
温かく感じた。
「・・・待ってたんだよ。」
いつも帰りが待ち遠しくて、
彼を待つことが当然だった。
「鈴、ごめんね。
俺の居ない間に一人ぼっちに
させちゃって、寂しい思いさせたく
はなかったんだよ。」
いつもその優しさに私は
どれだけ救われたか分からない。
「・・・・ん。」
「もう嫌われたって仕方ないと思ってる。
鈴を1人にしたことはずっと後悔してるんだ。
だから、謝っておきたくて。
でも、鈴には迷惑だったかな?」
自分のことよりも私のことが先って
ところも全く変わらない。
それだから、自分の心の狭さに
どうしようもなく嫌気がさすんだ。
「鈴、ごめんな。
2度と会いたくないって思うかも
しれないけど、俺はやっぱり鈴に
会えなくなるのは寂しいや。」
その声が途絶えた瞬間、遠くに
離れてく彼の背中が小さくて、
心なしか寂しそうで。
私は、まだ何も言ってないのに
私の中ではまだ解決してないこと
なのに終わった感のやり場のなさに
動くの出来なくなった。