走り続けた世界は夕暮れ時。
みんなが帰る頃。
痛くて振り返ることも出来ない
私は逃げる道を選んだ。
もう誰からも見放されたあの時の
孤独に浸るように砂浜の上にポツン
と取り残された。
会いたくて会いたくて仕方なかった。
だけど、会いたくなくて会えない。
きっと、私の存在があり続ける以上
彼は傷ついたままだと思う。
少しだけ、濡れたTシャツが
冷たくて凍えそうだった。
1人の世界はもっと冷たかった。
消えてしまえれば良かった。
どうして、あの時湊に出会ったの?
どうせなら、何も知らなかったあの
頃に戻りたい。
砂浜に意味もなく寝込んだまま、
このまま世界から消えてなくなりたくなった。
目蓋を閉じて現実逃避する私は
ただまだ受け入れたくないから。
「・・・鈴。」
いつもの聞きなれた声すら
拒絶する。
体が思うように動かなくて、
声すら出せなくて視界が真っ暗なまま
震える手をぎゅっと握り締めた。
湊。
私、全然駄目なの。
湊みたいに強くなれないの。
会えることを自分でも望んでたのに
苦しさに逃げ出した。
心の中が掻き乱れる。
もう分からない。
会いたかった私が本当なら今の私は
可笑しいの?
どうしたら、答えは見つかるの?
見えないから見つけられっこないのに。
探してる私は変?