後悔とかそういうことをして人は生きてるんだと

思い知った気がする。

誰だって、それが最初から間違いだと気付かない。

通り過ぎてやっとそれが間違いだと気付くんだ。

事前に間違いを教えてくれる能力があったら、

面白みのない世界になってしまう。

でも、もしそんな能力を生まれ持ってきたら、

どんなに楽なんだろう。

それこそ、人に壁を作る私にとっては

すごく素敵な能力だったりする。

「ねぇ、私1人?」

荷物を抱えてやってきたのは大きなお屋敷。

日本って感じの大きな松の木がたくさんある。

そんなお屋敷に入ると、庭が無駄に大きく

見えた。

こんな大きいお屋敷なんて初めてで、

ここに泊まるのだろうか?

それで、1人奥の方に放り込まれた。

聞いたところで、誰も近くに居ない。

でも、私こういうところで1人に

なるとすごい好奇心旺盛になる。

これも気分なんだろうけど。

仕方ないから、部屋を出てお庭に行く。

池には鯉がピクピクと口を動かしてる。

可愛いというか、癒される。

「お嬢さん、何をしていらっしゃるのですか?」

にこやかに笑う白ひげのおじさん。

優しそうな雰囲気から怖そうな人では

ないらしい。

「鯉が可愛くてつい。」

しゃがんで鯉を覗き込む。

赤に白、黒と色鮮やかで綺麗に泳ぐ鯉。

「ほう。分かってるお嬢さんですな。」

鯉を指さして説明するおじさんを

ジッと見た。

へぇなんて相槌うって。

「ですから、この屋敷の」

「おい、親父。」

似てるような声。

髪も背も顔も全然違うのにそう思った。