「鈴?大丈夫?」
優しく笑う湊にしがみつきたくなった。
「湊、私・・」
いつからだろう。
私は、いつからこんなにも湊に頼って
きたんだろう。
ゆっくりと戸惑いがちに触れる湊の手が
頭に乗っかる。
「鈴がどこかに行っちゃいそうな気がして。」
私は湊をいつも悲しくさせるんだね。
湊が私を見るたび、傷ついたような顔する。
悲しいって心の底から思ってる。
だけど、気づかないフリした。
気付かない方がいいって思ったんだろう。
伏し目がちに私を見ない湊に何も出来ない
私はただ湊を見つめるしか出来なかった。
「どこに行くの?」
質問をする私を少しばかり驚いたように
見る湊に少し戸惑った。
「鈴は鈴が思ったように動いていい。
その意味が分かる?」
湊はいつも難しいことを私に聞いてくる。
答えなんて最初からないみたいなこと。
「分からない。」
「俺が鈴を縛り付けてない?」
だから、難しい答えは解きようがない。
どんなに難しい公式を使った数学も
誰が考えたのか分からない科学式も
全部解けるのにこんな時の問題を私は
解けない。
どんな公式を使えば解決するの?
「湊は私が嫌いなの?」
どうして、そんな意地悪な質問をするの?
「ううん、答えになってないよ。」
どうしても私に答えさせたいんだね。
「縛り付けることなんて湊はしないでしょ?」
私が誰と居たって湊は優しく見守ってくれる。
学校にも家族のことにも深く踏み入らない。
私を知ってるのかって言えば、きっとそこまで
知らないんだろうって言える。