息が詰まる中私の前に居る彼を直視出来ずに居る。

呼吸が正常に出来てるのか疑問に思う中、

「鈴・・・?」

彼がどんどん近づいてくることにどうしようもなく

困惑した。

私に会いたくないであろう彼。

私が彼に出来ることはただ一つ。

「・・・・・ッ」

ビーチサンダルに入ってくる砂なんて

蹴飛ばしてその場を後にした。

それ以上、彼と同じ空気を吸うことすら

出来ないだろうと思えた。

罪悪感が私を占める。

彼がどうして私の前に現れたとか

そんなことよりも自分が彼の前に

居ることが罪だと思えた。

『もう2度と会わないと誓います。』

きっと、痛いよりも孤独が覆った。

その日から地獄の日々だった。

涙も出てこない。

涙を流す資格すら私にはなかった。

大好きだったあの笑顔もきっと

彼が私を責め続けることに変わりはなく、

その痛みはきっと癒えることはないんだろう。

走り出した私にはもう世界は歪んでた。

文句さえ言ってくれるなら良かった。

詰られるならまだ彼を責めることだって

出来ただろう。

どうして彼は一度も私を拒まなかったんだろう?

どうして“優しい人”だったのだろう?

性格が悪ければ嫌いになれたのに。

全然、私と違う。

嫌いになりたくてもなれなかった。

好きだから拒まれることが怖かった

のは私だった。

もう要らないなんてそう突き放される

ことに恐怖を覚えた。

きっとその時点で私は臆病者だった

に違いなく、情けないと思えた。