「お腹空いたな。」
尚のぐぅって鳴るお腹の音に便乗する。
夕日がバックにもうそんな時間なんだって
思った。
「鈴、鞄持つよ。」
鞄を片手にプラプラしてると湊がにっこり
微笑んで私の鞄を持つ。
「平気だよ?これぐらい重くない。」
湊と桐の間に割って歩く。
湊は優しいから私の鞄を持ってくれるわけで、
「ありがとう。」
鞄を持ってた右手が空く。
「どういたしまして。」
湊の左手が差し出される。
それを素っ気なく掴む私は
きっと素直になれない。
「おいっ、鈴。」
桐の声が左から入ってくる。
「何?」
「眠そうな顔してんなし。」
「・・・・・・」
「あ、そうだ。」
桐が徐に手を差し出してくる。
「何この手?」
「ん。」
「だから、何?」
クスっと笑う湊に桐がそっぽを向いた。
鈴って意地悪なんて湊に言われる。
「飯、何食うかな。」
それでも、桐が居なくても駄目だった
と思うの。
湊が居ても桐が居なきゃ駄目だって思うから、
「桐の手って大きいね。」
「なっ。」
湊よりも大きなゴツゴツした手を掴む。
「あ、湊。」
「不意打ちだろ。」
ボソッと呟く桐の声なんて全然聞えてなかった。
太陽が沈む前にはどうやらホテルに着けるだろう
って予測してる。