過去をどう変えたくてもこの事実を変えたくない
なんて都合いいことは出来ない。
そんなのもう分かってる。
だからこそ、湊に救われる。
「湊」
泣きたくなるような日もあるけどね、
強がりな私はどう頑張っても可愛い女の子
からほど遠くて。
「ん?」
意地張って泣けないのもあるけどね、
涙は見せたくないって気持ちが強いのかもしれないよ。
「私のこと嫌いになった?」
それで湊が離れていってもあたしって存在
を否定したくてもそれでもいい。
あたしが湊から離れない。
でも、距離を取られるよりもずっと
嫌われるってことが怖くてしょうがない。
「どうしてそう思うの?」
湊の顔色とか伺えないほど私で精一杯。
「嫌いになられるのは慣れてるから。」
目の前のことを見ることも出来ないぐらいの
臆病者な私を湊は笑うだろうか?
「そういうことに慣れないで。
鈴を嫌いになったりしないよ。」
悔しいぐらい湊が大人だから背伸びが
足りなくなる。
もう少し、背が足りたらいいのに。
「ホントに?」
「うん。」
「湊、嫌いにならないでいてくれて
ありがとう。」
「鈴の味方になりたいだけだよ。」
頭を撫でる湊の手が胸に染みるほど
優しくていつもこの手に愛情を感じた。
「桐、尚、満、ありがとう。」
いつもそこにある優しさに感謝する。
感謝しない日はきっとない。
こうやって、私の知らない世界に連れ出して
私の常識を増やしてくれる。
マイナス思考な考えも、吹き飛ばすぐらい
その温かなぬくもりを与えてくれる。