「……准斗はマジで食べないの?」
「いらない」
従業員が下がって、部屋に二人っきり。
「准斗…後継ぐの?」
「…別に俺には兄貴が居るから…継がない」
「そっか~」
「手伝えとは言われているけど…」
「ふうん~」
「肉ばかり…食べてないで野菜も食え」
肉の上に焼けたキャベツを乗せられた。
「食べた食べた…」
私は眠たくなって…思わず…座布団の上に転がる。
「焼肉臭い…女を抱くのは趣味はねえが…」
准斗は眼鏡とヅラを外して、転がる私の上に乗り掛かる。
「トーヤ!!?」
「てめえが無防備過ぎなんだ…」
キャラ変え…早っ!!?
「……焼肉好きの女とは…初めて知った…」
「あんたこそ…苺オーレでしょ?」
「うるさい…キスする気も起こらねえ~たくっ」
トーヤはとっとと体を起こして、私に背を向ける。
「……ニンニク付け過ぎ><マジ…クサイ!!」
「……」
自分ではあまりそんな風には思ってなかった。
今度から気をつけよう~。
あれから毎日…准斗はリレーの練習の後…「DONDON」に連れて行ってくれた。
毎日は食べ飽きてしまい…おまけに体重も増加!!
そう言っている間に体育祭当日。
「あれ??佐波…太った??ほっぺがふっくらしてる」
苑が私の右ほっぺを摘む。
「……痛い><」
「俺…ブタはヤダなあ~」
隣でポツリと呟く准斗。
ブタにした張本人がよく言うぜ~。
「……ほっぺに肉つけるんなら…胸にもっとつけろ」
「うるさい!!」
そう言って…准斗は立ち去った。
「何か…矢藤君…キャラ変わってない?」
「……気のせい気のせい…私たちも並ぼう」
もうすぐで開会式。
どのクラスも手作りの旗を掲げ、目指すは優勝。
「DONDON」の焼肉食べ放題!!
私は准斗のせいで食べ飽きて…准斗同じでテンションが低い。
でも応援には気合を入れ、カロリー消費!!!
「あんた応援!!」
一人…ボ~ッと見る准斗にメガホンをポンポンと渡す。
「俺はいいって~」
「いいから応援!!」
「……」
ぶ~っとふてくされた顔で准斗は右手にメガホン、左手にポンポンを持つ。
お互いの正体がバレて…いっきに二人の距離が縮まった。
クラス一段となって…出場するクラスメイトたちを応援!!
私の出場する種目。借り物競争となった。
適当に拾った紙に書かれたモノをゴールに持っていけば…いいこと。
楽勝楽勝!!
と思いきや…私の拾った紙に書かれたモノに唖然!!?
眼鏡はいいとしてヅラ???
って何??普通…そんなもん付けてる生徒は居ないだろ!!!
いや…居た……私と准斗…。
周りの生徒たちがどんどん紙に書かれたモノを揃えていく…。
マジで背中に汗が滲んできた。
「准斗!!!!」
私は席に座る准斗を呼ぶ。
「ヅラと眼鏡…貸してえええぇ~~~!!!」
「はぁ!!!?」
私は准斗のヅラと眼鏡を奪い取る。
私は勝ちたい一心で…後のことは全く考えてなかった。
私は一等でテープを切ってゴール!!!!
焦りの汗が爽快な汗に変わった。