いままで男に縁のなかった人生を歩んできた。
ゾラさんは不思議な人だった。
たった少し、こうして話しをしただけで、固い敬語で話していたのが巧な彼の話術でリラックスできて、いつの間にかそれが溶けていた。

こうして普通に会話ができる。
それだけで、ゾラさんに惚れてしまいそうだった。

もてない女ほど惚れやすい生き物はいない、と自分でも軽く理解はしてる。

「一緒に暮らすって行っても、部屋は別にするし、プライバシーは守るよ。」

「え…。部屋、いくつかあるの?」
内心、がっかりしていた。
どんだけ変態なんだ自分。
「2LDK。結構広いよ。一緒に生活してみて、僕のこと彼氏にしてもいいって思ったら、僕はちょこさんの彼氏になるよ」

黒目がちな目を細めて、優しい顔していう。
なんだか恥ずかしくて、無言で氷のみのグラスのストローをすする。

「僕はちょこちゃん、気に入っちゃった」

その場で即決したのは言うまでもない。