ぼくとアズミが同棲を始めてから2ヶ月が経ったある日のことだった。

いつものなんでもない朝、ぼくはギターの弦を買いに、楽器店へ行っていた。


「――お父さんに、家に連れ戻されたの」


最初、電話を受けたとき、ぼくはアズミの言っていることの重大性が、すぐに理解できなかった。


「なに、どういうこと?」


「病院に行ったら、待合室にお父さんがいて」


「えっ?!……」


「それで、いま家にいるの。亮平のことは言ってない」


ぼくらは、ぼくの用事がすんだあと、
病院の待合室で落ち合うことになっていた。