ぼくらは幸せに暮らしていたが、
二人とも、これといった収入がなかった。

ぼくは、いままで
わずかな貯金と年金で暮らしてきた。

二人で生活すれば、
そのうち貯金もなくなってしまうだろう。


「わたし、バイトすることに決めたわ」
とアズミが宣言した。


「病気なのに、大丈夫なの?」


「大丈夫。
わたしが働くから、亮平は家事をして。
わたし、いままで全部お母さんにやってもらってたから、まともに料理も出来ないし」


アズミはさっそくバイトを始めたが、
ぼくは、彼女の身体が心配でたまらなかった。