『888888888』とたくさんの拍手をもらったあとで、ぼくは早々にチャットルームを出た。


「なぁんだ、歌詞、
覚えてるわけじゃないんだ?」
とアズミがぼくの机の前のクリップボードに貼ってある、大量のコピー紙を見て笑う。


「覚えられるわけないよ、
英語なんだから」

「あはは。全然知らなかったー」

「そ。ぼくはいつも、これ必死で読んで
きみにも聴かせてたの」


アズミは、クリップボードを埋め尽くしている、たくさんの歌詞をじっと眺めていた。
そして、くるりとぼくを振り向いて言った。


「ねぇ、亮平。今度、
わたしのためになにか弾いてくれる?」

「いいよ。いま練習している”Tears in Heaven”を、あなたに捧げましょう」