『もう別れたのか、あいつら』

ぼくは、後ろの台所で不器用に包丁を扱いながら、豆腐を切っているアズミに叫んだ。

「コージ、別れたんだって。ミルクと」

「へぇ…」

「誰も連絡先は知らないって」

「そうなんだ」

そして彼女はしばらくの沈黙のあと、

「コージさん…、ほんとはサヤさんのことが忘れられなかったのかなあ。
サヤさんの優しさに甘えてたのかも…」
とつぶやいた。


ぼくは、パソコンに戻って書き込んだ。

『ところで、ぼく、言わなきゃいけないことがあるのよ』

『なんですか、改まってw』

『ぼく、アズミと暮らすことになった』