「ふぅん…兄さんも患者さんだったんだ」


「…え?」


「てっきり、作業療法士さんかと思った。

ギター上手かったし」



そのとき、隣の窓口でピンポンが鳴って、
ぼくのほんとうの番号札――86番が
示された。


あたふたと、ぼくは薬を受け取る。


その間に、アズミはコートを着込んで、
カサ置き場で自分のカサを捜していた。


それで、カサを持たないぼくと彼女は、
ちょうど同じタイミングで外に出ることに
なった。