月明かりのなか、ぼくの目のまえに、
アズミのうるんだ瞳があった。


「大丈夫か、アズミ」

「うん…ごめん、亮平……」


どちらからともなく、
ぼくらは身体を寄せ合った。
アズミの目から、再び涙がこぼれた。


「あんなにいい人だったサヤさんが、死んじゃうんだもん…」


ぼくは、彼女の背中を
なだめるようにさすった。


「悪いことをしているわたしたちは、
きっと地獄に堕ちるよね…」