いったい、どんな薬が何錠入っていたかもわからなかった。


ぼくは急いで、アズミを洗面台に連れて行き、口のなかに指を突っ込んだ。


ゲホゲホと咳き込みながら、彼女は胃の中のものを吐き出していた。


20歳のケーキの残骸が流れていく。


「亮平、くるしい。やめて」

「だめだ」


もういいだろうというところまで、ぼくは徹底的にやった。
万が一でも、彼女になにかが起こって欲しくなかった。


ぼくはもう、アズミなしでは生きていけない。
そのことを、何度も何度もあたまのなかで反芻していた。