「ぼくが、アズミを見守ってるから」

「ありがと」

「ぼく、アズミが笑ってる顔が好きだよ」

「うん」

「アズミが苦しいと、ぼくも苦しい」


部屋の外は、まだ大雨だった。
ぼくは、アズミをぎゅっと抱きしめた。
彼女の身体は、まだ少し冷えていた。


「アズミ、寒くない?」

「少し」

「布団に入れよ、アズミ」

「うん。亮平、ありがと」


アズミは、敷きっぱなしの布団の中に、
そろりともぐり込んでいった。

「…亮平の匂いがする」