「いつか?…」

「――二人とも、薬がなくても眠れるようになったらいいね」

「そうだね」

ぼくは、それが決して夢ではないような気がした。


アズミは、立ち上がって、ぼくの手をうながした。


「薬に依存するのはいけないことだけど、
わたしに依存なら、うれしいわ」


ぼくらは、手をつないで、ベンチをあとにした。

たくさんのハトが飛び立った。

ぼくは、今日の彼女のことを、天使みたいだ、とこっそりつぶやいた。