「じゃあ、
なぜ胸の痛いのが治らないのかな?」

アズミは、ぼんやりと疑問を投げかけた。


「わからない。…
別れた瞬間、ほんとうにガシャーンって音がして、胸が壊れたみたいになったんだ。
その彼女とは、19歳のときから6年間つき合ってた。――一緒に住んでたよ」


アズミは、だまっておとなしく聞いていた。

「アズミ、ぼくのモトカノのこと、気になる?」

「うん…少しだけ」

「いまは、アズミのことしか見てないから」

アズミが顔を上げて、ぼくを見て笑った。