ぼくは、ギターを弾き始めた。

アズミはぼくの隣にぴったりと座って、
じっとぼくの手つきを見ていた。

ぼくは彼女の視線を感じて、
少し緊張してしまった。


窓から冬の陽が、やわらかく差し込む。
ほこりがわずかに舞うなかで、
ぼくらは、ゆっくりとした時間を
過ごしていた。


「ぱちぱちぱち。ありがとー。亮平」

「なんだ、泣けよ」

「あはははは」


アズミが明るく笑ってくれたことで、
ぼくも幸せな気分になった。