アズミはその日、例のクリーム色のコートの下にワンピースにブーツ姿で登場した。

「お。かわいー」
とほめたら、

「どこがよ」
と意外とアズミは反抗した。


ぼくらは、電車に乗って、
二人が初めて出会った病院へ向かった。

今日は、このまえと違ってとてもいい天気で、二人ともなんとなくワクワクしていた。


「ぼくさー。
病院行くのがこんなに楽しいの、初めて」

「わたしも」

「やっぱ一人だとしんどいよね」

「うん。待ち時間がいちばん気がめいる」

「今日の待ち時間、どうする?」

「そうね~」

アズミは少し考えてから言った。

「わたし、亮平のギターが聴きたい」