「その道具、要らないかなあと思って」

「そんなもんまで売り始めたのか」

ぼくは少しあきれた。
この子は、いったいどんな生活をしてるんだろう。

「いえ、あたしの使いかけなんですけど…。べつに汚くないので。あたし、新しいの買ったからもったいないなと思って」

「いいって。俺は要らない」


電話を切ったが、少し気になることがあった。

…薬の効き目が長持ちする。…


正直、たった2・3時間しか効かない薬を、一日何度も飲むのは気が引けたし、経済的にも辛かった。

でもそれだけは、手を出すべきじゃない――…。