「ところで、その顔どうしちゃったの?」


ぼくはアズミの頬を指さして尋ねた。
そこには出来たばかりの紫色のあざがあった。


「わたしね、さっき父親に殴られてきた」


「えっ?!」


「うちの家って、最悪なんだよ…」


「よくあるの?こういうこと」


アズミは、下を向いてうなずいた。


「お父さん、女つくっちゃってさ」


「……」


「夫婦でケンカばっかりしてるくせに、
わたしには、就職しろとかなんとか
うるさく言ってくんの。

あれでもお父さん、警察官なんだよ。
信じられない」